厚生労働省は16日、2009年度の医療費動向調査の結果を発表した。医療保険と公費から支払われた概算医療費は前年度比3.5%(約1兆2000億円)増の35兆3000億円となり、7年連続で過去最高を更新した。高齢化の進展に加え、医療技術の高度化が医療費膨張の要因となっている。
 70歳以上の高齢者医療費は4.6%増の15兆5000億円となり、全体の44.0%を占めた。この構成比率は統計を取り始めた2000年度(37.7%)から上昇を続けている。 

(2010年8月16日 時事通信)

 山口市の助産師(43)が、出産を担当した同市の女児に、厚生労働省が指針で与えるよう促しているビタミンKを与えず、代わりに「自然治癒力を促す」という錠剤を与え、この女児は生後2か月で死亡していたことが分かった。

 助産師は自然療法の普及に取り組む団体に所属しており、錠剤はこの団体が推奨するものだった。母親(33)は助産師を相手取り、約5640万円の損害賠償訴訟を山口地裁に起こした。

 母親らによると、女児は昨年8月3日に自宅で生まれ、母乳のみで育てたが、生後約1か月頃に嘔吐(おうと)し、山口県宇部市の病院でビタミンK欠乏性出血症と診断され、10月16日に呼吸不全で死亡した。

 新生児や乳児は血液凝固を補助するビタミンKを十分生成できないことがあるため、厚労省は出生直後と生後1週間、同1か月の計3回、ビタミンKを経口投与するよう指針で促し、特に母乳で育てる場合は発症の危険が高いため投与は必須としている。

 しかし、母親によると、助産師は最初の2回、ビタミンKを投与せずに錠剤を与え、母親にこれを伝えていなかった。3回目の時に「ビタミンKの代わりに(錠剤を)飲ませる」と説明したという。

 助産師が所属する団体は「自らの力で治癒に導く自然療法」をうたい、錠剤について「植物や鉱物などを希釈した液体を小さな砂糖の玉にしみこませたもの。適合すれば自然治癒力が揺り動かされ、体が良い方向へと向かう」と説明している。日本助産師会(東京)によると、助産師はビタミンKを投与しなかったことを認めているという。助産師は読売新聞の取材に対し、「今回のことは何も話せない。今は助産師の活動を自粛している」としている。

 ビタミンK欠乏性出血症 血液凝固因子をつくるビタミンKが不足して頭蓋(ずがい)内や消化管に出血を起こす病気。母乳はビタミンKの含有量が少ない場合がある。

2010年7月9日 読売新聞)

 漢字や用語 難解な試験

 EPA(経済連携協定)に基づきインドネシアとフィリピンから来日した外国人看護師・介護福祉士候補者の中途帰国が相次ぎ、受け入れが始まった2008年以降、計33人(今年7月1日現在)に上っていることがわかった。

 日本の国家試験突破の難しさなどから、将来の展望が見いだせずに就労をあきらめた人が少なくないと見られる。

 候補者は、これまで998人が来日。国内の施設で働きながら勉強し、3~4年の在留期間に国家試験に合格すれば本格的に日本で就労でき、そうでなければ帰国するのが条件だ。しかし、漢字や難解な専門用語が試験突破の壁になり、合格者は昨年がゼロで、今年は看護師3人のみ。

 あっせん機関の国際厚生事業団によると、中途帰国したのは、今年度来日したばかりの118人を除く880人中、インドネシア15人(うち看護師12人)とフィリピン18人(同11人)の計33人。特に、合格率1・2%だった国家試験の合格発表後に当たる今年4月以降に中途帰国した看護師が計11人に上っていた。

 こうした問題を受け、厚生労働省は今月、看護師国家試験に使われる難解な専門用語について、平易な言葉への言い換えなど、何らかの見直し方法を有識者検討会で集中的に審議。来月初めにも提言にまとめ、来年行われる次回の国家試験に反映させる方針だ。

 また、政府は6月に閣議決定した「新成長戦略」で、2011年度中に実施すべき事項として「看護師・介護福祉士試験の在り方の見直し(コミュニケーション能力、母国語・英語での試験実施等の検討を含む)」と明記、外国語による国家試験実施の可能性に言及している。

 看護師国家試験 看護師の免許を取得するための国家試験。保健師助産師看護師法に基づき、国が年1回実施している。日本の大学看護学科や看護学校を卒業するなどした人のほか、EPAに基づく看護師候補者も、日本語などの研修を受けたうえで病院などで就労し、同等の知識、技能があると認められれば受験資格が得られる。

2010年7月9日 読売新聞)

  点滴速度の設定ミスで患者の男性=当時(79)=を死亡させたとして、警視庁府中署は17日、業務上過失致死の疑いで、東京都府中市の都立府中病院(現・都立多摩総合医療センター)に勤務する女性看護師(22)を書類送検した。同署によると、看護師は容疑を認め「なぜ設定を誤ったのか自分でも分からない」と供述している。

 送検容疑は、平成21年6月11日午後2時20分から同7時ごろ、男性に栄養剤を点滴する際、速度を誤って通常の10倍に設定したため男性が心肺停止となり、同月13日午後7時15分ごろ、死亡させたとしている。

 同署によると、点滴速度はデジタル入力方式だったが、看護師が入力する数値を誤った。男性は当時、末期がんで衰弱しており、過度な点滴速度の負担に耐えられなかったとみられる。

 同病院庶務課は「看護師のミスがあった。死亡との因果関係は警察の捜査にお任せしている。ご遺族には心からお悔やみを申し上げたい」とコメントした。

(2010年6月18日 産経新聞)

 一般医薬品(大衆薬)のうち、副作用のリスクが高い第1類医薬品を販売する際、薬の詳細な説明など薬事法に定められた手順を守っていない店舗が約半数に上ることが18日、厚生労働省の調査でわかった。昨年の改正薬事法の施行で新たな販売方法が定められたが、同省は「まだ制度が十分定着していない」として、都道府県に店舗を指導するよう求めた。

 今年1~3月上旬、委託を受けた民間調査会社の調査員が一般客を装い、全国3991の薬局・薬店を訪ねて調査した。

 胃腸薬や発毛剤などの第1類を扱う1949の薬局・薬店のうち、「購入前に文書を用いて詳細な説明があった」のは50.5%、「購入前に文書を渡されたが詳細な説明はなかった」が7.1%、「口頭のみでの説明だった」は22.5%、「説明自体なかった」も19.8%に上った。

 同法はリスクの低いうがい薬や目薬などの第3類医薬品のみ郵送販売を認めている。だが、インターネットの検索サイトで「通信販売」「医薬品」で検索した10件のうち、6件で第1類、第2類医薬品が購入できたという。

(2010年6月18日 朝日新聞) 

出産の時に使われる陣痛促進剤について、使用の際は患者に危険性などを説明して同意を得るよう薬の添付文書に明記されることになった。このことは、患者団体「陣痛促進剤による被害を考える会」(出元明美代表)が長年、改定を求めていた。

 薬の審査や安全対策を行う医薬品医療機器総合機構によると、添付文書が改定されたのは、オキシトシン(一般名)など3種類7製品。

 今回の改定ではこのほか、〈1〉少量ずつ投与が可能な「精密持続点滴装置」を使う〈2〉脳内出血や出産前に胎盤がはがれ始める「常位胎盤早期剥離(はくり)」などの緊急状態が起こることがあるため患者の状態を十分観察する――などが盛り込まれた。同機構が6月1日付でメーカー側に指示した。

 陣痛促進剤は、効き目に個人差が大きく、投与は産婦や胎児の状況を十分に観察しながら慎重に行う必要がある。しかし、過剰な投与など不適切な使用が以前から問題になっており、患者側に十分な説明がないまま使われる例が多いといった指摘もあった。

2010年6月17日 読売新聞)

 総務省消防庁は7日、認知症の高齢者らが入所する全国の小規模社会福祉施設の約7割で、スプリンクラーが設置されていないとする調査結果を発表した。

 調査は、札幌市の認知症グループホームで3月に7人が死亡した火災を受け、2009年に消防法施行令の改正でスプリンクラーの設置が義務付けられた9105施設を対象に行われた。

 未設置だったのは6555施設で72%に上った。設置は11年度末まで猶予されているが、未設置施設の44%が「設置時期は未定」と回答。設置が進まない背景について、同庁は「国の補助はあるが自己負担も必要なためでは」とみている。

 国土交通省も同日、建築基準法の適合状況について全国の認知症高齢者グループホームを対象にした調査結果を発表。それによると、4月20日までに点検した5951施設のうち889施設で防火・避難関係の法違反があり、「非常時につく照明がない」など非常用照明装置に関する違反が427件と最多だった。

2010年6月8日 読売新聞)

検診、治療、ケアを一貫患者の負担軽減

 乳がんの検診から診断、治療、治療後のケアまでを一貫して行う「紀和ブレスト(乳腺)センター」が、橋本市岸上の紀和クリニック内に開設され、本格的な運用が始まった。

 乳がん患者に特化した医療センターは県内で初めてという。乳腺外科医2人が常勤、最新の医療機器を備え、伊都地方や奈良県五條市なども含めた地域の治療拠点として、役割が期待される。

 センターは昨年9月、県立医科大病院紀北分院から乳腺外科医・梅村定司医師(43)をセンター長に招き、開設。今年1月、同大第1外科から同・玉置剛司医師(45)を副センター長に迎え、看護師、放射線技師、理学療法士ら約20人の専門スタッフをそろえた。

 乳がん治癒は10年かかるといわれるが、その間に主治医が2、3人代わったり、検診、診断、手術ごとに病院や医師が違ったりすることも多く、梅村医師は「患者の心身の負担を軽減するためにも、一つの病院で継続して診ることが必要」とセンターの意義を語る。センターでは、外科手術とともに乳房再建手術も行っており、患者のQOL(生活の質)向上に努めている。

 設備も充実している。マンモグラフィ(乳房X線撮影)に加え、磁気共鳴画像(MRI)装置に専用機器を設置して撮影する「MRマンモグラフィ」を導入。悪性・良性の判定や、がんの広がりをより詳しく診断できるようになった。化学療法室は、リラックスできるように、リクライニングシート4台、ベッド2台、小型テレビも配備した。

 乳がん検診では、仕事を持つ女性が受診しやすいように5月から第1月曜の午後6~8時に予約制で夜間検診を始めた。早期発見であれば、乳房の温存も可能で約90%が助かると言われる。しかし県健康づくり推進課によると、2008年度の県内女性(40歳以上)の受診率は22・5%と低い。

 梅村医師は「日本人女性の20人に1人が乳がんを発症するとされる。受診率の低さが治療を困難にしており、様々な手を打って受診率を高くし、大切な命を守っていきたい」と話す。問い合わせは同センター(0736・34・1255)へ。(上野綾香)

2010年5月27日 読売新聞)

 インフルエンザ治療薬タミフルの服用後、自宅マンションから転落死した愛知県知立市の中学2年秦野皓平君=当時(14)=の母竜子さん(50)が27日、厚生労働省で記者会見し、独立行政法人・医薬品医療機器総合機構を相手取り、異常行動をタミフルの副作用と認めるよう求める訴えを、今秋をめどに起こすと発表した。
 竜子さんによると、皓平君は2005年2月、タミフル服用後にマンション9階の廊下から飛び降りて死亡した。同機構に遺族一時金の給付を求めたが、異常行動とタミフルの服用について因果関係を認めず、06年7月に不支給を決定。厚労省に審査も申し立てたが、棄却された。
 竜子さんは「厚労省が10代への使用を原則中止しながら、なぜ因果関係がないと判断したのか分からない。きちんとした説明が聞きたい」と主張。訴訟では不支給決定の取り消しを求める。 
(2010年5月27日 時事通信)
 

 韮崎市は今夏から「子宮(けい)がん」の原因となるヒトパピローマウイルスへの感染を予防するワクチン接種費用を全額助成する。

 対象者が4月以降、既に個人負担で接種している場合も、医療機関の領収書を提出してもらうなどして負担する方針で、関連予算案を市議会6月定例会に提出する。

 対象は小学6年と中学3年の女子計323人で、1回目から3回目の接種費用の全額を市が負担する。1回目を8月下旬頃に始め、2回目をその1か月後、3回目を2月中旬頃にする。

 接種は3回で計約4万5000円かかるが、市は初診料なども考慮し、1人5万円で試算。事務費なども含めて計約1370万円を盛り込んだ予算案を6月定例会に提出する。

 対象者には3枚つづりの回数券と問診票を配布し、市と契約している医療機関で接種してもらう予定。保護者にパンフレットの配布や説明会を通して周知を図り、接種率80%以上を目指すという。

2010年5月26日 読売新聞)